静岡県小山町にある富士スピードウェイで5月22日(土)スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース決勝が行われました。
前日に行われる予定だった公式予選は悪天候の為に全セッションがキャンセルとなり、ランキング順でのスターティンググリッドとなりました。
レースは午後3時にスタート。各車 第1コーナーに飛び込んでいきますが大きな混乱はなく24時間先のゴールを目指し長く厳しいレースが始まりました。
長く厳しい24時間レースはマシンの破損などで度々FCY(フルコースイエロー)が出て速度制限が行われます。そんな中、星野 敏選手のドライブする777号車D'Station Racingがクラッシュしリアウイングを破損、FCY(フルコースイエロー)が導入されます。777号車は破損したリアウイングを引きずりながらもなんとか自力でピットまで戻る事ができました。
夜間走行になると様々なチームでトラブルが発生し、ピットでの修復作業を余儀なくされる姿も見受けられるようになります。
9号車 MP Racing GT-RがダンロップコーナーでストップしFCY(フルコースイエロー)が導入され、全車50km制限に。9号車の撤去にかなり時間を要していましたがコース内に救急車が入り9号車のもとへ。
その後SC(セーフティーカー)が導入されます。271週目 山野直也選手がドライブする22号車のPorsche Team EBI WAIMARAMAがアドバンコーナーから300Rに向かう途中のコース上でエンジンストールしストップ。
さらにFCY(フルコースイエロー)が導入されます。22号車はリペアエリアからピットレーンに戻ってきますが自らのピットまでたどり着けず、メカニックがマシンを押しピットまで戻してゆきます。
夜間走行の時間には花火も打ち上げられ霧の中で爆発する花火は幻想的な光景を創り出していました
今年の富士24時間の大きな話題となった32号車 ORC ROOKIE Corolla H2 conceptの水素エンジンを搭載したマシンは順調に走行。水素の補給(給水素)に1軒目・2軒目と2回に分けて行うシステムを採用し、他チームの通常の燃料給油のようなスピーディーな燃料補給はできないが、2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル目標に向けて示した新たな挑戦は大きな試金石となったのではないだろうか。
ヨーロッパの自動車業界がEVに大きく舵取りをしようとしている中トヨタが開発した世界初の挑戦となる水素エンジンはこれまで自動車産業が長年蓄積してきたエンジン技術やノウハウを転用できる未来の技術となりうるのか今後の水素エンジンの開発に世界中から注目が集まる事は間違いありません。
空が白み始めると、予選の悪天候・決勝スタート時の曇天からは想像もできない美しい富士山が現れました。そんな中 嵯峨宏紀選手がドライブする31号車 LEXUS RCF GT3がマシンのフロント部分から白煙を噴き上げストップ。右フロント部分からは炎も上がります。ここでSC(セーフティーカー)が導入され 朝焼けの中、全車隊列を整えながらの走行となります。
普段のレースでは観ることのできない朝焼けの中を疾走するマシンはこの富士24レースの醍醐味と言えます。長かった夜が明け、レースはクライマックスへ向かいます。夜が明けて明るくなると、コース脇にはここまでの激しい戦いを象徴するような大量のタイヤかすが見受けられるように。
残り約6時間となった所で1コーナー手前で225号車 KTMS GR YARISがマシンフロントから大きな炎を上げストップし、すぐに消火作業が行われSC(セーフティーカー)が導入されます。
ST-TCRクラスの1位は97号車 Racer Hondaカーズ桶川CIVIC
ST-2クラスの1位は7号車 新菱オート☆VARIS☆DXL☆EVO10
ST-3クラスの1位は62号車 HELM MOTORSPORTS RC 350
ST-4クラスの1位は18号車 Weds Sport 86
ST-5クラスの1位は456号車 odula Star5 Roadster
賞典外ではありますが2021年より新設された『STOが参加を認めたメーカー開発車両、または各クラスに該当しない車両』により争われるクラスに参戦した28号車 ORC ROOKIE Racing GR SUPRA
総合優勝した 81号車 DAISHIN GT3 GT-Rドライバーコメント
●大八木 信行選手「緊張しました。色々な事を思い出して、あぁ良かったなと(思いました)」
●青木孝行選手「乗ってて車もすごく調子良かったんで、気持ちよく楽しく走れました! 実は序盤に結構なトラブルが出てましたがチームもニスモさんも色々な対策をしてくれて本当であれば何時間もかかる作業が必要な所をなんとか最後までいけるようにしてくれたので最後まで行けました。」
●藤波清斗選手「伝統あるチームで、こうやって仲間に入れていただいて本当に感謝しています。なんとか結果を、貢献したいという気持ちで今回の24時間にかける想いは強くて、結果に繋げられて本当に良かったと思います。」
●坂口夏月選手「本当にDAISHINさんと、GT NETさんと、NISMOさんのおかげで本当に良い経験をさせてもらえました。レギュラードライバーの皆さんが速くて、僕はそのサポートを少しさせていただいただけなんですけど、本当に良い経験をさせていただきました。」
今回のレース水素エンジンを搭載し注目を集めた32号車 ROOKIE RACINGは度重なるトラブルを乗り越え24時間を走り切り、給水素の時間・インフラ整備・燃費などまだまだ様々な要素が未完成ではあるが、史上初の水素エンジンでのレース参戦の第一歩は今後のレース界、いや自動車産業の大きな大きな礎になったに違いない。
24時間レースの興奮さめやらぬまま次戦 第4戦 TKU スーパー耐久レース in オートポリスは
7月31日(土)~8月1日(日)に大分県にあるオートポリスで開催されます。